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「心より心に伝ふる花」を目指して
「三輪」の舞台展開
ここでは「三輪」を5つの場面に分け紹介します。
写真 平成28年 能尚会 シテ武田祥照
撮影 前島吉裕
1、玄賓僧都(ワキ)の登場
名乗り笛によって玄賓僧都が登場し、毎日樒・閼伽の水を持ってくる里女がいることを語る。
2、里女(シテ)の登場
次第によってシテが登場し、秋の風景を謡い、自らの境遇を語る。
3、里女は僧都の庵を訪ねる
里女はいつもの如く僧都の庵を訪ねる。折しも秋の夜寒で里女は僧都に衣を乞い、僧都は衣を与える。上人が里女の所在を尋ねると「わが庵は三輪の山もと恋しくは訪ひ来ませ杉立てる門」 の古歌を引き、三輪山の麓にあり、杉の門を目印に来てくれと言い残して消える。
4、僧都は三輪山に行く
僧都が三輪山に行くと二本の杉に先ほど里女に与えた衣が掛かっており、金の文字で歌が書いてある。「三つの輪は 清く浄きぞ 唐衣 来ると思ふな 取ると思はじ」
5、三輪明神の登場
杉の木陰より三輪明神が女性の姿で登場する。そして三輪の伝説を語る。
大和の国に仲睦まじい夫婦がいたが、男は夜しか女のもとを訪ねない。女は男にその理由を尋ねると男はもうここに通うのはやめようと言って立ち去る。女は別れの寂しさに男の裾に糸を付けて後を追った。するとその糸は杉の木についていた。その下には輪が三つ残っていたことからこの地を「三輪」と呼ぶようになった。
昔話を語り終えると天照大神が天岩戸に籠った時のことを語り、神楽を舞い、夜明けとともに僧の夢が覚める。
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